流産手術と経口中絶薬の違いは?どちらを選べばいいの?
当院では2024年7月の経口中絶薬(以下メフィーゴパック)の発売以来、約1年で延べ70人の方にご利用頂きました。その中で、メフィーゴパックの利点、欠点が見えてきました。従来あった流産手術の方が効果的と考えられる方もいらっしゃいます。
メフィーゴパックの最大のメリットは、子宮にダメージを負わせない点です。流産手術では、子宮腔に器具を挿入しなければなりません。子宮を手術者側に引いたりもします。通常の子宮なら大丈夫ですが、帝王切開の既往がある方、分娩時の子宮頸部裂傷がある方、双角子宮の方では、この操作で子宮にダメージを負わせることがあります。
また、麻酔はかけません。以前の流産手術の麻酔で、気分不快が強かった方にもメリットがあります。
流産手術の最大のメリットは、流産手術を境に回復に向かうことです。メフィーゴパックは、胎嚢は娩出しますが、脱落膜という子宮由来の細胞群がなかなか出ません。そのため出血が続き、止血するまで平均3週間かかります。このような理由から、流産手術の方がナプキンの装着期間が短くてすみます。仕事が立て込んでいる方にはオススメです。
また適応の期間が広いのも特徴です。メフィーゴパックは胎嚢確認から妊娠9週までなのですが、胎嚢(妊娠性の細胞群)が2cmより小さい時の時は、薬剤では押し出しきれない時があり、追加手術が必要になるときもあります。また、事後の出血が多くなるため、8週中盤くらいまでが適切だと思います。手術は、ある程度小さくても大丈夫ですし、10週でも可能です。
適切な週数 | 向いている方 | |
メフィーゴパック | 6週から8週 | ・帝王切開を受けたことがある方 ・以前の麻酔で気分不快が強かった方 |
流産手術 | 5週から10週 | ・早期回復を希望する方 ・ナプキンかぶれなどが気になる方 |